相続の話など私にはまだまだ関係が無いことだと思っていました。
しかし、母が年老いた祖母の面倒を見るようになってから風向きが変わり始めています。
直接私が相続する訳ではないにせよ、困っている母の姿を傍らでただ見ているわけにはいきませんでした。
祖母の家を相続する?

私の母は近くに住んでいる母方の祖母の面倒を見ています。
祖母は一人暮らしで他の姉弟は遠方に住んでいるため、ほとんど母がお世話をしています。
施設や病院への送り迎え、食事のお世話、お風呂の介助などなど……。
母一人では本当に大変なので、できる時は私もすすんで手伝っていました。
そんなある日、母と祖母がお茶を飲みながらリビングで休んでいると、祖母からあらたまって話があったそうです。
祖母の住んでいる自宅を母に相続したいといってきました。
身体は何かと不自由になった部分もありますが、祖母はまだまだ元気です。
しかし、元気なうちに相続先を決めておきいたいという気持ちがあるらしいのです。
祖母の資産といえるのは、自宅とわずかな貯金くらいだというのですが、突然の相続の話に母は困惑したそうです。
借地だった祖母の自宅
一人では決めることができないので、母は他の姉弟に相談しました。
いつも近くにいて面倒を見てくれている母に感謝する気持ちがあったので、母の姉弟たちは母が祖母の自宅を相続するのは問題ないそうです。
母はその言葉をありがたく思い、祖母の自宅を自分が相続しようと思っていました。
しかし、ある問題が発生しました。
それは、祖母の家は祖母の資産ですが、土地は別でした。
すなわち、土地に関しては借地だったのです。
祖母は毎月、年金から地主に地代を支払っていましたが、母はそんなこと知らなかったそうです。
母は父と別に暮らしているので、もし相続したら売却することを考えていたので、困っていました。
借地は相続できる?
「そもそも借地にある建物って相続できるものなの?」と母に相談された私は、こういった法律に疎い母の代わりに調べました。
借地権に関する法律
借地権とは地主から土地を利用する権利のことを指し、借りた人を「借地人」といい貸した土地のことを「低地(ていち)」というそうです。
借地契約をした借地人が亡くなった場合、前借地権者が行った契約がそのまま引き継がれるとのことなので、母が相続したらそもまま地代を払いながら、土地を借りつづけることは問題なくできます。
その際地主さんへの承諾も必要なく、承諾料も支払わなくていいそうです。
しかし、その借地権を売るとなると話は別です。
契約内容を確認する必要があるため、地主さんへ相談することにしました。
母と一緒に地主さんのところへ
祖母に確認し、地主さんのところへご挨拶にいきました。
会ってみると地主さんは母と近い年齢の方で、代替わりしているそうでした。
祖母はこの地主さんへ地代を振り込んでいます。
地主さん曰く、祖母の自宅の周りの土地も所有しておりマンションを建てたいと考えていたそうです。
そこで、買い戻しできないか逆に地主さんから相談を受けました。
何でも、祖母の自宅は旧借地法で契約していており、きちんと地代を払っていたので、地主からは契約延長を断れなかったとのことでした。
祖母は母の下で暮らすことに
最終的には地主さんが買い戻しを選択しそれを承諾することになりました。
母としても祖母の生活を考えると一緒に暮らしたほうがいいと判断したからです。
祖母は母の説得に応じ、父も同居に反対することはなく、すんなりいきそうです。
とってもいい地主さんでしたが、借地権というよくわからない契約があったので契約やお金のことについては借地権に強い不動産会社へ相談しました。
そのおかげで地主さんとはお互い納得した上で契約がまとまりました。
お金については祖母のために使うことで、母の兄弟間でも決まったようです。
相続の話になると色々揉めると聞いていたので、問題なくまとまったようでホッとしています。